Interview EUV Elektronik
Sabrina Schilling

「当社製品の信頼性が決定的に重要になります」

T RUMPFはチップ製造向けに、最も重要なコンポーネントに数えられる2つの装置、EUVリソグラフィ用高出力レーザと、マイクロチップのコーティングに必要なプロセスエネルギーを提供するプラズマジェネレーターを供給しています。TRUMPF Lasersystems for Semiconductor Manufacturing(TLSM)のサービス責任者であるマーティン・ザウターと、TRUMPFエレクトロニクス事業部門でサービス責任者を務めるクリスティアン・カーザーが、半導体業界におけるサービスの役割について、そして当社がお客様の現場で最大限の稼働率を確保している方法について説明しています。

TRUMPFには、半導体業界のどのような課題に対応することが求められていますか?

クリスティアン・カーザー:チップ製造には数週間かかります。製造プロセスでごくわずかな変化が生じるだけで、完成したチップが正常に機能しなくなる可能性があります。それだけでなく、サービスのためのダウンタイムが1分でも長くなればなるほど、非常に高額なコストが発生します。なぜならば、チップ工場の建設には何十億ユーロもかかり、24時間365日稼働しているからです。良質でスピーディーなサービスと、当社製品の信頼性が決定的に重要になります。従って、TRUMPFエレクトロニクス事業部門のプラズマジェネレーターでは、製品故障率がわずか1パーセントとなっています。それに加えて当社では、過去10年間のすべてのジェネレーターが、「正常に機能しているシステムはいじるな」のモットーに従い、同一の高水準で製造、点検、メンテナンスされていることを保証しています。

マーティン・ザウター:半導体業界の成功には、高い生産性が欠かせません。EUVレーザの稼働率は99パーセントを超えています。当社はパートナーのASMLと共同で、このパーセンテージをさらに高めることに徹底的に取り組んでいます。また、高出力レーザの出力安定性も重要な役割を果たしています。当社では、出力損失を最小限に抑えるための技術的な解決策に引き続き集中して取り組んでいます。そこでは、新規装置だけでなく、現場でのレトロフィットも対象になっています。なお、万が一装置が停止した場合は、優れたサービスネットワーク、素早い反応、完璧なスペアパーツ提供で当社は対応しています。

Interview mit Christian Casar

クリスティアン・カーザー:「TRUMPFでは、『最初からしっかりと』物事を行うことを重視しています。TRUMPFエレクトロニクス事業部門のサービスエンジニアは、修理したジェネレーターを一発で「新品同様」の状態でお客様に返送しています。信頼性に関して、新品の装置との違いはありません。」

Martin Sauter

マーティン・ザウター:「半導体業界の成功には、高い生産性が欠かせません。EUVレーザの稼働率は99パーセントを超えています。」

Christian Casar und Martin Sauter

クリスティアン・カーザーとマーティン・ザウターは、チップ製造で最も重要なコンポーネントに数えられる2つの装置、EUVリソグラフィ用高出力レーザと、マイクロチップのコーティングに必要なプロセスエネルギーを提供するプラズマジェネレーターのサービス事業責任者です。

製品の稼働率がそれほどまでに高いのであれば、サービスエンジニアがすることはなくなってしまうのではないでしょうか?

マーティン・ザウター:高出力レーザのサービス事業は、典型的な修理業務ではなく、予防措置を講じてレーザの故障を防止することにあります。そのためには、ミスなしで設置することが重要な前提条件であり、それが当社のサービスエンジニアの主な仕事のひとつとなっています。稼働中の装置に関して、ASMLは広範囲にわたるグローバルサービスネットワークを有しています。TRUMPFはASMLの従業員にEラーニングなどのトレーニングを提供して、サービス案件の95パーセント以上を自力で解決できるようにしています。それに加えて、ASMLがより手厚い支援を必要としている場合は、当社のエキスパートが30分に電話サポートを提供しています。

完璧なスペアパーツ提供を保証するため、当社はASMLと密接に協力して最善の在庫管理を確立しています。サービス出動に必要なスペアパーツとツールは、現場に保管しています。万が一パーツを保管できない場合は、当社のロジスティクスチェーンを活用することになります。例えば、ASMLの近くで倉庫を運営することで、パーツを365日いつでも非常に短い時間内にASMLに供給することが可能になっています。

「お客様との長期にわたる密接なパートナーシップが、半導体業界で重要な役割を果たしています。」
クリスティアン・カーザー、TRUMPFエレクトロニクス事業部門サービス責任者

TRUMPFエレクトロニクス事業部門はお客様にどのようなサービスソリューションを提供していますか?

クリスティアン・カーザー:エレクトロニクス事業部門のサービス事業は、修理に特化しています。当社では、従来の「サービスエンジニアがお客様を訪問する」形ではなく、装置がサービスエンジニアのところに来るようになっています。そしてサービスエンジニアがジェネレーターを社内で、世界中のサービスセンターで修理しています。そのためお客様は、故障した装置をすぐに設備から取り外し、新しい装置を取り付けて、ダウンタイムを最小限に抑えられるようになっています。サービスセンターでは作業環境がしっかりと管理されており、TRUMPFは信頼性に対する業界からの高い要求水準を修理の際にも満たしています。

TRUMPFでは、「最初からしっかりと」物事を行うことを重視しています。TRUMPFエレクトロニクス事業部門のサービスエンジニアは、修理したジェネレーターを一発で「新品同様」の状態でお客様に返送しています。信頼性に関して、新品の装置との違いはありません。それに加えてTRUMPFは、出力アップグレードや改造もお客様に提供しています。そのためお客様は、設置されている基本設備の能力をより一層引き出し、ジェネレーターの価値を高めることができます。また当社ではお客様と共同で、終売になった他社製品を自社製品で置き換える解決策にも取り組んでいます。

「人類は、生活をこれまでよりも良くし、簡単にし、快適にし、スピーディーにすることを今後も目指していくでしょうが、どの場合でもチップテクノロジーが必要になるのです。」
マーティン・ザウター、TLSMサービス責任者

ディッツィンゲン、フライブルク、オランダ、台湾など、サービスネットワークは複数の国や組織にまたがっていますが、その構成はどうなっているのでしょうか?

マーティン・ザウター:当社のグローバルサービスネットワークには、500人以上の従業員が所属しており、高出力レーザの設置を担当しています。現地の専門家と出動待機しているエキスパートが、発生する修理作業のうち、ASMLが自社では実行できない残り5パーセントを受け持っています。当社のトレーニングセンターとスペアパーツセンターは、ディッツィンゲン、台湾、韓国と米国にあります。

クリスティアン・カーザー:当社のサービスネットワークは広範囲にわたっており、重要な全地域でお客様第一主義を確保することができています。従って、当社では供給した製品を、その寿命全体にわたって世界中で効率的にサポートできるようになっています。サービス案件が発生した場合は、数か国の複数のチームが共同で解決策に取り組むこともあります。

Interviewpartner EUV Elektronik

マーティン・ザウターとクリスティアン・カーザーは、どちらも将来を前向きに見据えています。

将来について見てみましょう。半導体業界向けのTRUMPF技術サービスは今後どのように展開していくでしょうか?

クリスティアン・カーザー:既に現時点で、お客様との長期にわたる密接なパートナーシップが、半導体業界で重要な役割を果たしています。当社はお客様と共同で、製品の適格性評価に成果が出るまで取り組んでいます。お客様とそのプロセスとの融和をより一層深めたいと思っています。「Time to Market」、すなわち市場に投入するまでの時間が益々短くなる傾向にあり、サービスが関与するタイミングが早くなっていると感じています。また、現在当社は台湾の既存のTRUMPF拠点でテクニカルセンターに投資して、製品を現地で大量に修理できるようにしているところです。

マーティン・ザウター:チップ業界は大きく動いています。アジア企業SamsungとTSMCは米国でも製造を開始しましたし、TSMCが日本に新拠点を開設したことを受けて、当社も日本に進出することになります。このインタビューを半年前に受けていたら、Intelがドイツ・マクデブルクに進出すると言っていたところです。その計画はこれまでのところは上手くいっていませんが、確実に言えることがひとつあります。人類は、生活をこれまでよりも良くし、簡単にし、快適にし、スピーディーにすることを今後も目指していくでしょうが、どの場合でもチップテクノロジーが必要になるのです。

作成日 2025/01/28
その他参考情報
Plasmahelden_Stage