レーザが威力を発揮する瞬間
時計メーカーJunghansの限定モデル、Meister S Chronoscope Platin Edition 160は、世界中の熱狂的な時計ファンの間で興奮を呼び起こすモデルです。販売数は12本に限定されています。高価なプラチナに施されている特別エディションエングレービングと限定番号は、TruMark Station 7000に装備されたTruMicro Mark 2030によるものです。
課題
Junghansは2021年に設立160周年を迎えます。伝統的な時計メーカーである同社は、この機会にMeister S Chronoscope Platin Edition 160を全世界12本限定で発売します。この16,000ユーロの高級時計では、細部一つ一つが完璧でなければなりません。Meister S Chronoscopeのケース、プッシュボタンとネジ止め式リューズは、高光沢性プラチナPT950を磨き上げて製作されたものです。裏蓋には特別エディションエングレービングと限定番号が施されており、限定12本の時計それぞれが唯一無二の存在になっています。
解決策
TRUMPF Laserもシュランベルクに拠点を構えており、両社は以前から協力関係にありました。例えばJunghansの製作所では、古い一方で極めて堅牢なTRUMPFのマーキングレーザ2台が何十年も前から確かな作業を行っています。ですが記念時計の製作では、技術的に一歩進むことがTRUMPFに求められました。その理由についてマティアス・シュトッツ取締役は、「プラチナは時計業界で最も価値の高い貴金属であると同時に、加工しにくい金属でもあります。そのため、番号のエングレービングでも念には念を入れたかったのです」と説明しています。従ってJunghansでは、極めて精緻なプラチナ製時計のエングレービングを、TRUMPFの新しいレーザ加工法で行うことに決定したのです。
実行
Junghansは、TruMicro Mark 2030を装備したTruMark Station 7000で裏蓋のエングレービングを行いました。この装置では、パルス幅を400フェムト秒から20ピコ秒の間で自由自在に設定することが可能です。その結果、バリなしで深い一方で、高貴な白色のエングレービングが生み出されました。記念時計では、エングレービングの深さとして17マイクロメートルが求められました。この深さは極上の外観を得るには十分である一方で、それ程深くはないため、レーザが高価な貴金属を除去しすぎることがありません。まず高めのパルス周波数で希望の深さにエングレービングを施した後に、加工パラメータを素早く切り替えて精緻な溶融膜を生成して、エングレービングの色を明るくしました。パルス幅などの加工パラメータの切替は、800ミリ秒以内に行われました。
展望
TRUMPFのレーザテクノロジを活用することで、Junghansでは自社製品のエングレービングを全く新しい形で自由に行えるようになっています。「自社内でレーザエングレービングできる体制になっていれば、お客様それぞれの希望に素早く対応してそれを叶えることができます。大きく進歩しているこの技術を当社の高級限定時計に利用できることを嬉しく思っています。この技術面での自由度の高まりは、今後もデザイン開発に影響を及ぼしていくはずです」とシュトッツ取締役は述べています。