話している途中でイシドロ・ロボ氏は背を向けて、何かを探し始めました。これはちょうど、同氏の企業が体現する価値観がテーマになった時のことでした。少しした後、冷蔵ショーケースメーカーJordãoの社長である同氏は上機嫌で再び会話に注意を戻しました。同氏が持ち上げた小さなプレートには、まさにこの価値観がリストアップされていました。具体的には、前向きな姿勢、意欲、団結心、誠実さ、優秀であることです。それに加えて、同社のミッションも記載されていました。「食品の保管と陳列に最適なソリューションを生み出すこと。課題から解決策を導き出すこと。環境に敬意を払うこと。」このプレートは、新入社員全員に入社時に手渡されます。ロボ氏がこのプレートを取り出した主な意図は、Jordãoではこの価値観が単なる美辞麗句ではなく、従業員に対して入社初日から率先して実践して見せているものであることを示すことにありました。
同社は、1982年にジョゼ・ジュリオ・ジョルダン氏がポルトガル北部のギマランイスで設立した企業です。当時、最初の従業員数は22人でした。それが現在では250人と、10倍以上になっています。今日、Jordãoは食品小売業と飲食業向けのカスタマイズ型ならびに標準型冷蔵ショーケースに関して、ヨーロッパ有数のトップメーカーであり、世界中に著名な顧客を抱え、直近の売上高は2150万ユーロに達しています。
Jordãoではイノベーションを推進し、テクノロジーとサステナビリティの融合を重視しています。同社が提供しているデジタルソリューションは効率的で環境に優しく、ユーザーの現場で、消費電力量の削減と食品の陳列に役立っています。昨秋、外食・ホテル業界で世界中で最も重要な見本市のひとつで、同社の製品はイノベーション賞を受賞したほどです。
同社とTRUMPFのパートナーシップは、2021年に始まりました。Jordãoでは、冷蔵ショーケース用小型金属部品の自動曲げ加工をスピードアップできるマシンを探していました。その際、TRUMPFのTruBend Cell 7000が適切なソリューションとなりました。双方にとっては、ビジネス上の利害関係だけなく、家族経営企業であり、イノベーションを推進している企業であることも共通項になっています。これは、長期的な関係の基盤が築かれたことを意味していました。Jordãoはそれ以降もマシンを購入し続け、2Dレーザ切断機TruLaser 3040 fiberとコンパクトストレージTruStoreを導入しました。LiftMaster CompactならびにPart Masterと組み合わせられたこのシステムは、この冷蔵ショーケースメーカーの生産現場で、部品をフルオートで切断しています。
Jordãoでは、TruBend Cell 7000でもTruLaser 3040でも、プログラミングが簡単で、高い生産性とパーツ品質が得られることを高く評価しています。これは同社で、時間とコストの節約につながっています。また、パーツ品質が高いため手作業による後処理が減っており、従業員の負担が軽減されています。
着実さと忠誠心
ですが、最新のマシンだけでは、長期的に成功を収めることはできません。「従業員が良い気分で出社できるようにしなければなりません」とイシドロ・ロボ氏は述べています。経営陣はそれに貢献しており、着実な経営を実践しています。 そのことを示すように、ギマランイスに本拠を置く家族経営企業である同社では、慌てて措置を講じることや、深く考えずに決断を下すことはありません。ロボ氏自身ほど、この継続性を体現している人物はいません。40年以上前から、経営の舵を取っているのですから。将来的に、同社の経営権は経験豊富なチームが握り続けることになっています。
TRUMPFとのパートナーシップも、長期的な視野に立ったものとなっています。Jordãoでは、ハイテク企業TRUMPFには製品の品質だけでなく、同社の生産性も高める力があることを認めています。ドイツと同様に、ポルトガルの企業も専門人材不足に悩んでいます。
従って、競争力を維持するには、TRUMPFのマシンを導入してプロセスを自動化することが不可欠になっています。Jordãoでは次のステップとして、TRUMPFの生産管理ソフトウェアOseonの導入を考えています。このソフトウェアには、同社のオートメーションレベルの更なる向上とマテリアルフローの改善に役立つことが期待されています。
意欲的な目標
将来に向けて、Jordãoでは意欲的な目標を設定しています。「2026年までに2022年の売上高を倍増したいと考えています」とロボ社長は述べています。それに向けて、経営陣は既に布石を打っています。Jordãoは、自社工場に隣接する建物2棟を購入したのです。それにより、10,000平方メートルの生産施設面積が新たに加わりましたが、これは同社史上最大の投資でした。これは、Jordãoの成長戦略を実現する上で重要な決断でした。
カスタマイズ型冷蔵ショーケースに対する関心は高まっています。「このところ、特に食品小売業の重みが増しています」とロボ氏は述べています。それに加えて、ホテル、レストランやカフェなどの外食業界に属するユーザーも、Jordãoにとって引き続き大きな意味を持っています。そして最近では、比較的小規模なスーパーマーケットにも対応できることが求められるようになっています。
TRUMPFは、Jordãoの成長軌道をサポートしています。生産のデジタルネットワーク化の主要プロバイダー・主要ユーザーとして、ハイテク企業TRUMPFはあらゆるノウハウを有しており、オートメーションを活用してJordãoを支援し、生産性の飛躍的な向上に貢献できる体制が整っています。このことを、TRUMPFの営業担当者カルロス・シルヴァは端的に次のように表現しています。「Jordãoでは、当社が問題を解決できることに気づいたのです。」