課題
垂直統合の度合いが高いことは、Samaplast AGに決定的な競争優位性をもたらしています。ですがそれは同時に、色が異なる極めて多種多様なプラスチックを処理しなければならないことも意味します。それには、PEEK、PPSU、TPEやPOMなどの熱可塑性樹脂だけでなく、高吸収性素材も含まれます。部品は非常に多岐にわたり、平らなものから複雑な3D形状に至るまで何でもあります。例えばPPSU製の股関節骨頭は体内には残らず、手術中に最終的なインプラントのサイズをテストするために使用されます。
Samaplast AGでは、特に少量生産を行っています。「通常は1個から数千個ですが、百万個単位の大量生産を行うこともあります」とオクレCEOは説明しています。生産の大部分はクリーンルームで行われています。医療技術分野での要件は高く、難度が高い領域ですが、オクレCEOによれば、「それでもエキサイティングなんです!」とのことです。 なお、Samaplast AGでは従業員95人の膨大な専門知識が頼れる力になっています。シュテファン・シェア氏もその一人です。仕上げ・ロジスティクス責任者である同氏は、医療製品とインプラントのレーザマーキングなどを担当しています。シェア氏とそのチームは、シリアル番号に加えて、マトリックスコードやUDIコードも施しています。そのために同社では、20年以上前からTRUMPFのベクトルマーキングレーザを使用しています。このレーザは信頼性が高いマシンですが、球形の製品にマーキングする際は、マーキングの歪みがどうしても発生してしまいます。
そのため、TRUMPFスイス支社のソフトウェアプロダクトマネージャー、クリストファー・ホイレが、2019年にオクレCEOとシェア氏に対して、開発パートナーとしてTruMark 6030とソフトウェアTruTops Mark 3Dをテストする話を持ちかけたところ、両者はすぐに快諾しました。共同で、三次元レーザマーキングに思い切って挑戦することになったのです。