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太陽光発電ブームに一役買っているレーザ溶接

ドイツ・ドレスデンに本拠を置く専門受託製造業者CooolCaseは、ハウジング製造に関する長年のノウハウを駆使しながら、アルミニウムで3種類の新しい溶接工程を開始しています。その理由は、太陽光発電がブームを迎えており、ソーラーパネルで発電した電気を電力網用に変換するインバーターを低コストで大量生産することが求められているからです。CooolCaseのメリンダ・クルーゼマーク営業部長は、次のように喜びを表しています。「インバーター用ハウジングは、品質とコスト面で重要な要素です。この非常に複雑なコンポーネントは、各種のアルミニウム合金から構成されています。レーザはそれに理想的なツールであり、当社はレーザを非常に生産的に使用する方法を見出すことに成功しています。」

CooolCase GmbH

https://www.cooolcase.com/

ドイツ・ザクセン州の伝統ある家族経営企業CooolCaseは、30年前から電子コンポーネント向けの機械式ハウジングソリューションを製造しています。100人の従業員を抱えるCooolCaseは、製品開発から製造に至るまでのプロセスで、顧客をサポートしています。この度、士気の高い後継者としてメリンダ・クルーゼマーク営業部長とマーヴィン・ミヒェルCFOが経営陣に加わった同社は、太陽光発電業界に参入し、最初から大口注文を受けています。

業界
受託製造業者
従業員数
100
事業拠点
ドレスデン(ドイツ)
TRUMPF製品
  • TruLaser Weld 5000
  • TruMatic 7000
  • TruLaser Cell 7020
  • TruBend 5130
  • TruBend 7036
  • Truma Bend V 85
  • TrumaBend V130
アプリケーション
  • レーザ溶接

課題

エネルギー転換に伴って、太陽光発電装置の大量使用が求められています。それに必要なインバーターは、デリケートなエレクトロニクスを収納している一方で、年間を通して風雨にさらされています。水分が内部に入り込むことを防ぎ、機構を保護するには、ハウジングが完全な気密性を有していなければなりません。ハウジングが通常は鋳造されるのは、そのためでもあります。ですが、個数が増えるに連れて、コストが占める役割も大きくなります。そこで、ドイツのある主要なインバーターメーカーが、鋳造に代わる大量生産方法のノウハウを持つ企業を探したところ、CooolCaseに白羽の矢が立ったのです。CooolCaseのメリンダ・クルーゼマーク営業部長は、「本来であれば、従業員約100人の当社には大きすぎるプロジェクトなのですが」と述べています。ですが、同社は少し躊躇しただけで、承諾することにしました。CooolCaseのマーヴィン・ミヒェルCFOは、「当社はヨーロッパ中で、アルミニウム製ハウジングをこの要件に合わせて気密溶接できるごくわずかな企業の一社なのです」と喜びを表しています。

勇気をもって新しいテクノロジーに投資したことが、これほどまでの成果をもたらすとは思ってもみませんでした!

メリンダ・クルーゼマーク
CooolCase営業・マーケティング部長

解決策

「レーザテクノロジーだけで、当社は製造プロセスでの以前の課題を解決し、製品の大量生産を可能にしています」とミヒェルCFOは述べています。「溶接では、鋳造の場合と比較してコストを著しく抑えることができます。ハウジングの肉厚をかなり薄くすることができるため、各ハウジングで使用する材料の量を約50パーセント削減することに成功しています。」

 

実行

これが可能なのは、CooolCaseが採用したTruLaser Weld 5000が、プロセスで必要な工程すべてに対応できるからに他なりません。レーザ溶接には経済的なメリットがあり、見た目は大したことがないように思えますが、インバーター用ハウジングの溶接は、実は並大抵のことではないのです。このコンポーネントでは、困難な溶接タスクが3つもあり、CooolCaseが持つノウハウすべてを注ぎ込む必要があります。1つ目は、側面のストレートビードと丸みのある角継手です。ここでCooolCaseでは、出力を微調整した熱伝導溶接を使用して、コンポーネントへの入熱量を最小限に抑えています。「そうしないと、溶接ビードで高温割れが発生し、気密性が損なわれてしまいます」とミヒェルCFOは説明しています。2つ目は、ハウジングへの補強パネルの溶接です。この工程では、レーザ装置の溶接方法を深溶け込み溶接に切り替えて、レーザ光で厚さ2 mmのアルミニウムを貫通して溶接することで、H2O分子を通さない気密性の高い継目を、ここでも高い再現性で生み出しています。そして最後に、溶接技術の極めつけとして、CooolCaseではハウジングルーフの開口部に冷却体を取り付けて、後でインバーターが異常過熱することを防いでいます。生産技術的な都合上、連続鋳造鋳片と呼ばれるこの冷却体は、6000番系アルミニウム合金としてしか存在していません。「これは非常に硬く、高温割れしやすい性質を有しています。ですが、それはまさにハウジングで絶対に起きてはならないことなのです。更にひどいことに、当社はここで、6000番系アルミニウムを別のアルミニウム合金に溶接しなければならないという状況に直面しています。もちろん、完全な気密性を確保しながらです。」そのためTruLaser Weld 5000で再び溶接方法を切り替えて、今度はFusionLineで補助ワイヤーを使用しています。「これは、両方の合金との類似性が十分でなければなりません。適切な溶接パラメーターを見つけるだけでも、微妙なバランス調整が要求される困難な作業でした。幸運なことに、TRUMPFという強力なパートナーがいてくれたので助かりました!」とミヒェルCFOは述べています。高い技能が要求されるこの作業はうまくいき、TruLaser Weld 5000はローテーションチェンジャー上でハウジングを次から次へと加工しています。

展望

CooolCaseの生産性は、短期間で大幅に向上しています。「インバーター用のプロセスを開発し始めた時の製造個数は、1日につき2個でした。TRUMPFと協力しながら生産工程を改善した結果、現在では1日に100個製造できるようになっています!各コンポーネントあたりの溶接時間も、当社の期待を上回っています。これについては、各コンポーネントにつき約7分半かかると見込んでいました。ですが、TRUMPFと協力しながら調整したところ、ハウジングごとの所要時間がわずか5分になりました。」きょうだい関係にあるクルーゼマーク営業部長とミヒェルCFOにとって、今回のインバーターの大口注文は、父親から経営の指揮をちょうど引き継いだばかりのことだったため、非常に喜ばしい出来事となりました。そして今回のオーダーだけで、成長の確固とした見通しが得られています。クルーゼマーク営業部長は、「投資して、苦労した甲斐がありました」と締めくくっています。

製品に関する詳細情報

TruLaser Weld 5000

TruLaser Weld 5000は、様々なレーザ溶接方法に対応しています。ロボット、レーザ、加工光学系、セーフティキャビンと位置決めユニットを内蔵したこの装置は、多種多様な用途に使用できるターンキーシステムです。

製品へ

2024年11月27日現在