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ジョー・ケンプフ氏は医療技術業界を熟知しています。そしてその弱点として、「ステントやその他のチューブに対する需要の高まりに主要メーカーが追い付いていない」ことを挙げています。医療手術では、低侵襲性手術用の器具として柔軟な極小チューブが必要になるケースが益々増えているほか、ステントの植え込み数も増加しているのです。ケンプフ氏は、このボトルネックを解決するにはUSPレーザ(超短パルスレーザ)が必要であることを理解していました。そんな時に、TRUMPFが世界初のファイバーガイドUSPレーザに取り組んでいることを知ったのです。「これが当社の製品設計にとって鍵になることは一目瞭然でした。」Alpine Laserはこれを使用して全く新しいマシンコンセプトを生み出し、それによって開発された同社のマシンはUSPレーザのファイバーガイドを使用して、主要な競合他社製マシンの何倍もの速度、精度と品質で市場で求められているチューブを製造しています。モジュール型マシン構造を採用することで、同社は既成の市場の常識を覆したのです。

Alpine Laser

www.alpinelaser.com

Alpine Laserは2019年にジョー・ケンプフ氏ともう一人の人物によって設立されました。この二人は医療技術業界で何十年にもわたって経験を積んだ後、業界向けにより良くより速いマシンを製造することを目指してこのスタートアップ企業を設立したのです。開発期間が1年過ぎてから、同社の新種のパイプ切断レーザ加工機に対する需要は劇的に伸びています。そして2022年にマシンの納品が始まりました。このマシンは、医療用の柔軟な小さいチューブを製造しています。モジュール構造になっているため、各種のツール、レーザとアタッチメントを使用し、生産オーダーに応じて速やかに交換することが可能になっています。

業界
医療技術
従業員数
5人と犬1匹
事業拠点
ミネソタ州ブルーミントン(米国)
TRUMPF製品
  • TruMicro 2000
  • ホローコアファイバーLLK-U
アプリケーション
  • レーザ切断
  • レーザパイプ加工

課題:市場の支配勢力とモジュール型マシン

ジョー・ケンプフ氏はマイクロ加工マシンを製造して、ステントや類似チューブのメーカーに販売することを考えていました。このチューブに対する高い需要に、そのメーカーは既存のマシンでは追い付いていなかったからです。ですが、この市場への参入は監督官庁によって世界中で厳格に規制されています。その結果、ステント切断機の大メーカーがこの市場を寡占する形になっており、製造現場と製品が老朽化していたため、ボトルネックになっていたのです。Alpine Laserは、主要メーカー製マシンよりも素早く高品質でこのニーズをカバーできるマシンの開発に取り組みました。このようなマシンの設計では、常に重大な妥協を迫られることになります。一方では、簡単に拡張可能で、低コストで素早く製造できることが求められます。また、それとは別にカスタマイズ可能であり続けることも必要になります。これについてケンプフ氏は、「これらを両立させるには、装置をモジュール構造にするしかないことに気づいたのです」と述べています。そして、それに必要な品質と時間の節約を得るには、USPレーザが不可欠であるとの結論に至ったのです。

超短パルスレーザでは良好な切断エッジが生み出されるため、当社のお客様が生産しているパーツでは、刺激性の化学薬品を使用して後処理する必要がなくなっています。

ジョー・ケンプフ
Alpine Laser創業者兼取締役

解決策:光ファイバーケーブルとフェムト秒

Alpine LaserはTRUMPFに相談を持ちかけました。その後両社は、Alpine LaserのMedicut Proの開発に共同で取り組みました。同機は、産業レベルでの生産用にホローコアファイバーガイドUSPレーザを使用する世界初のマシンです。ここで使用されているTruMicroでは、後処理がほぼ不要なレベルの切断エッジが得られるビーム品質を有していることと、直径0.25 mm、板厚わずか0.5 mmのチューブの加工で不可欠なフェムト秒レーザが利用できることが特に大きなメリットになっています。Alpine Laserが考案したこのモジュール型システムは、要件の高い部品を従来型マシンの2倍から5倍の速度で加工できる能力を備えています。また、非常にフレキシブルなツールが搭載されているため、パーツホルダーのセットアップと光学系の位置調整は5分足らずで完了しますが、これは特筆に値するスピードです。しかもこのステント加工マシンは世界最小を誇り、設置面積はわずか1.2 m x 0.7 mとなっていますが、それには光ファイバーケーブルが貢献しています。 このケーブルを使用しているからこそ、レーザ装置から加工品へのビームガイドをコンパクトかつ柔軟にすることが可能になっているのです。

 

実行:USPレーザならこのパートナーしかない

必要なアプリケーションにジョー・ケンプフ氏を中心とするチームが取り組めば取り組むほど、TRUMPFの名が出ることが多くなりました。TruMicroシリーズの仕様と新しい光ファイバーケーブルを見たとき、Alpine Laserのチームメンバーは市場には類似品がまだないことをはっきりと認識しました。そして、TRUMPFの担当者と共同で製品設計をし直すことになりました。これはTRUMPFにとっても、USPレーザの新しいファイバーガイドが本格的に使用される初のケースであったため、刺激的なプロジェクトとなりました。現在では顧客へのマシンの納品が始まっていますが、その一方でケンプフ氏は既にTRUMPFとの次の共同プロジェクトに考えを巡らせており、「当社の業務は始まったばかりで、まだまだ終わりではないと思っています」と述べています。

展望:信号はオールグリーン

まだ始まったばかりですが、ケンプフ氏は既に次の製品に考えを巡らしており、新しいUSP平板切断装置を開発して、カテーテル挿入システムの複雑なレーザ切断用に提供することを検討しています。そして「多数の製品をリストアップして、旧式の産業用設計を新しい先進技術で刷新して改良することでメリットがもたらされる可能性について検討しています」と述べています。

当社製品に関する詳細情報

TruMicro 2000シリーズ
TruMicro 2000シリーズ

TruMicro 2000シリーズのファイバーベース超短パルスレーザの特長は、コンパクトで軽量な構造であり、品質、生産性と収益性の最適な組み合わせが保証されています。これを使用すれば、金属のブラックマーキングも腐食なしで非常に上手くいきます。

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