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世界中で一定の製造品質を維持

医療技術企業B. Braunの手術器具事業部門であるAesculap AGは、「医療技術分野における世界の首都」と呼ばれるドイツ・トゥットリンゲンで、手術器具や医療技術製品を製造しています。同拠点のマーク・ラウファー・エンジニアリング担当副社長は、「ここでは、3種類の製品グループを製造しており、それには手術器具と整形外科インプラントが含まれています」と述べています。第三工場では、手術器具を保管して滅菌するための滅菌コンテナと、手術で使用されるバッテリーマシンのモーターシステムが製造されています。そのため、マーク・ラウファー副社長と従業員が日々取り扱っている製品の幅は非常に広くなっています。

これはトゥットリンゲンだけでなく、世界中の全拠点にも当てはまり、中国の蘇州工場も例外ではありません。そこの生産領域「China Instrument Plant」でレーザアプリケーション部長を務めているチャーリー・チュー氏は、次のように述べています。「ここでは、手術器具を毎年100万個製造しています。それには、骨パンチのほか、ピンセット、ハサミや滅菌コンテナなどの600種類以上の標準器具が含まれています。」

Aesculap AG

www.aesculap.de

医療技術分野で世界有数の企業であるB. Braunでは、「世界中の人々の健康を守って増進する」というビジョンを掲げています。1976年からB. Braunグループに属しているAesculap AGは、手術器具事業部門として、外科手術やインターベンション治療向けのソリューションを提供しており、それには手術器具、滅菌コンテナシステム、整形外科用人工関節のほか、心血管インターベンション治療、神経外科や脊椎外科用の製品が含まれています。現在、同社のトゥットリンゲン本社には約3,500人の従業員が勤務しており、中国、フランスとマレーシアでも製品を製造しています。

業界
医療技術
従業員数
約12,400人(世界中のAesculap事業部門)
事業拠点
ドイツ・トゥットリンゲン(本社)
TRUMPF製品
  • TruMark 7050を搭載したTruMark Station 7000
  • TruMicro Mark 2030を搭載したTruMark Station 7000
  • TruDisk 2000を搭載したTruLaser Station 7000
アプリケーション
  • レーザマーキング
  • レーザクリーニング
  • レーザ溶接
  • レーザ切断

課題

Aesculap(ドイツ・トゥットリンゲン)でシステム & セキュリティおよび生産デジタル化部長を務めているフェリックス・シュミット氏は、多数のアプリケーションを担当しています。「当社では一貫生産が進んでいます。製品を製造する上で、板金部品の溶接、クリーニング、曲げ加工、パンチングと切断を行っています。」そこでの主要なアプリケーションのひとつが、レーザマーキングです。「当社の世界中のマーキングデータベースには、約30,000個の品目が登録されています。ラインナップは幅広く、製品グループが多岐にわたっているだけでなく、材料も多種多様です。」手術器具では様々なスチール合金が、滅菌コンテナではアルミニウムが、インプラントではチタンやプラスチックが使用されています。「それだけでなく、特殊素材でコーティングしたニッチ製品も非常に多数あります。」マーク・ラウファー副社長は次のように付け加えています。「現在当社では、18,000個の完成品と29,000個の半製品を取り扱っています。完成品では、ロット数の範囲は1から1,800個の間です。平均ロット数は40個です。従って、プロセスがスムーズに進行しなければならず、あるオーダーから次のオーダーへの切り替えも簡単にいかなければなりません。」トゥットリンゲンでは、マーキングを15台のTruMarkと10台のTruMicro Markレーザで行っています。

手術器具の製造個数が100万個と膨大な中国の工場でも小ロット生産となっており、ロット数は10から200個の間になっています。そこでは、4台のマーキングレーザと1台のレーザ溶接設備が設置されています。同工場のアレックス・シュー生産部長は、次のように述べています。「当社には、高品質で信頼性の高いレーザ装置が不可欠です。 それがなければ、一定の高品質を維持しながら迅速に生産することはできません。」

TruMicro Markでマイクロストラクチャリングを行うことで、マーキングの耐久性を高めて寿命を延ばすことが可能になります。

フェリックス・シュミット
Aesculap AG(ドイツ・トゥットリンゲン)システム&セキュリティおよび生産デジタル化部長

ソリューション

世界中のAesculap工場でのプロセス認証を行う際は、「一拠点が全拠点のために」の原則が適用されています。具体的には、トゥットリンゲンのチームが準備作業を担当して、プロセスとパラメーターが他の拠点に転用されています。マーク・ラウファー副社長はこう説明しています。「ここで技術的なリーダーとなり、プロセスを改良し、国際的に展開しています。」Aesculapでは、早くも30年前からTRUMPFのレーザと工作機械を使用して、すべてが世界中で統一されるようにしています。「すべての装置を一手に提供してもらえることは、当社にとって決定的なメリットになっています。全工場で同じ基準で作業するには、それが不可欠です。」

現在、TRUMPFとの別の巨大プロジェクトが計画されており、今後数年以内に、すべてのマーキングレーザをTruMicro Markシリーズの超短パルスレーザに徐々に置き換える予定になっています。このテクノロジーの利点は、フェリックス・シュミット部長にとって明らかです。「マイクロストラクチャリングを行うことで、マーキングの耐久性を高めて寿命を延ばすことが可能になります。エングレービングの場合とは異なり、酸化物層が発生して、洗浄サイクルを重ねるうちに徐々に剝がれていくことがありませんから。」また、製造プロセス中に発生するスケールも少なくなります。従って、後で手作業で追加でクリーニングする必要もなくなります。シュミット部長は、「超短パルスレーザなら、作業効率をより一層高めることができます。それに、一定のレーザパワーも得られます」と述べています。

 

実行

超短パルスレーザに関して、マーク・ラウファー副社長とフェリックス・シュミット部長は、2020年にトゥットリンゲンのテスト装置で取り組みを開始しました。そこで、生産条件と練り上げた基準のもとで6か月間プロセスをテストしました。ラウファー副社長はこう付け加えています。「最大の課題は、各種要件の調和を図ることでした。例えば、ごくまれに少数しか製造しない特殊な製品がある一方で、頻繁に大ロット数が必要になる製品もあります。これらすべてが、世界中のどの工場のマシンでも上手くいくようにする必要があったのです。」

ソフトウェアの統合も困難な作業となりました。Aesculapでは、作業に使用している独自のUDI管理システムで、オーダー処理全体が進行しています。同社のチームは、TRUMPFとコネクターを共同開発して、TruTops Markインターフェースへの統合を可能にしました。また、AesculapではTRUMPFソフトウェアVisionLineを使用してマーキングを配置していますが、将来的にはそれに加えて、Data Matrix Codeの品質保証の改善に役立てることが意図されています。 「これまでのところは、下流の工程で外部スキャナーを使用して検査しています」とラウファー副社長は説明しています。「将来的には、この工程を直接マーキングプロセスに統合して、生産速度を上げたいと考えています。」

フェリックス・シュミット部長は、上記の作業を行った価値があったと語っています。「マシンでの基準を生み出したことで、このパラメーターを当社の他の工場に提供できるようになっています。」現在では、TruMicro Mark 2030レーザを搭載したTruMark Station 7000が既に数台稼働するに至っています。そのうちの1台は、1月から中国で稼働しています。そこのアレックス・シュー部長は、レーザパワーの高い安定性に感銘を受けています。「他メーカーの装置では、変動することが再三再四ありましたが、新しい超短パルスレーザではこれまでのところ全く問題ありません。」それに加えて、中国のチームは、新しいレーザの運転を非常に短期間で開始することにも成功しており、この装置は1月に設置された後、早くも2月から連続生産を行っています。

展望

これまでのところ、Aesculapでは多数の製造工程が依然として手作業で行われていますが、トゥットリンゲンのラウファー副社長とシュミット部長にとっては、オートメーションが悩ましいテーマになっています。「当社は幅広い製品ラインナップを取り扱っており、ロット数が頻繁に切り替わるため、そもそもどこにオートメーションを導入すれば意義があるのかを入念に検証する必要があります」とラウファー副社長は指摘しています。「また、マーキングプロセスだけを自動化しても意味はなく、その上流と下流の製造工程も調整しなければなりません。」ですが、同社のチームは取り組みを少しずつ進めており、既にコボットがTruMark Station 7000に加工品を装填し、そこでTruMicro Markレーザが鋸刃にマーキングを施しています。

両者とも、今後のステップにおいてもTRUMPFが最適のパートナーであることを確信しています。シュミット部長はこう述べています。「テクノロジーが素晴らしく、サポートがとても利用しやすいことがTRUMPFの魅力です。世界中のどこでも、問題が発生した場合はその国でいつでも非常に素早い支援が受けられています。」

当社製品に関する詳細情報

TruMicro Mark 2030
TruMicro Mark 2030

超短パルスで加工するTruMicro Mark 2030では、最大限のプロセス安定性と精度が得られます。多段階出力調整が可能で、ひとつひとつのパルスでのパルスエネルギーが監視される同機では、極めて正確に加工し、医療技術分野での高い要件も満たすことができます。例えば、ブラックマーキングで迅速かつ確実にマーキングを施して、UDI適合マーキングに対する要件を満たすことが可能です。

TruMark 7050

TruMark 7050は真のオールラウンダーです。溶接、エングレービング、ストラクチャリングやクリーニングなどの用途を問わず、このパワフルなレーザからは非常に高い出力が常に得られます。200ワットの平均出力と10キロワット以上のピーク出力を誇る同機では、最高レベルの加工速度と短いサイクルタイムが実現します。しかも、統合しやすく操作も簡単です。

TruMark Station 7000

マーキングレーザとソフトウェアを備えたトータルソリューションであるTruMark Station 7000には、決定的なメリットがあります。具体的には、すぐに使用可能であり、あらゆる安全基準が満たされており、多種多様な加工品で卓越した精度が得られ、様々な調整が可能です。ソフトウェアが内蔵されており、操作とメンテナンスが簡単であるため、医療技術分野に理想的です。

TruDisk 2000

高出力固体レーザTruDisk 2000は、溶接、切断と表面加工に関連する作業で頼りになるパートナーです。アクティブレーザパワーコントロールが内蔵されており、100パーセント一定の出力が得られます。特殊な共振器設計を特長とするTruDisk 2000は、反射光に対する耐性が非常に高く、高反射材料であっても加工可能です。

2024年8月28日現在