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SICK AGの測定ホイールエンコーダーは、 市場で大きな成功をおさめました。触覚測定用の装置の信頼性は高く、売れ行きも好調です。SICK の製品管理担当シニアバイスプレジデントである Heiko Krebs にとっては、現状維持でも十分でした。でも、彼はそれ以上を目指したのです。彼の狙いは、生産設備における速度・位置・長さなどの生産データを、非接触で光学的に記録することにありました。しかしこれまでのところ、光学測定は一般的な測定ホイールエンコーダーよりもはるかに手間のかかる高価なものでした。

2012年、Krebs は、もっと安価なレーザセンサーを入手するのに力となってくれるパートナーを探し始めました。TRUMPFは、完全に統合されたレーザセンサーとして VCSEL ダイオードを提示し、 実証済みの測定方法、いわゆる自己混合干渉技術、 略して SMI を提案しました。このアイデアが生まれ、SICK と TRUMPF は共同開発をスタートし、その結果、SICK の SPEETEC センサーが誕生しました。

SICK AG

www.sick.com

SICK は、工場からロジスティクス、プロセスオートメーションまで、産業用センサソリューションのスペシャリストです。Waldkirch を拠点とするSICKは、 テクノロジーとマーケットのけん引役として、センサーインテリジェンスとアプリケーションソリューションで、プロセスを安全かつ効率的に制御し、事故から人々を守り、環境破壊を防止するための基盤を構築しています。1946 年に設立されたSICKは、全世界に50以上の子会社と持ち株会社、また多数の代理店を抱えています。

業界
工場、ロジスティック、プロセスオートメーション用のセンサーソリューション
従業員数
10,000
所在地
Waldkirch (ドイツ)
TRUMPF 製品
  • ViP (統合型フォトダイオード付 VCSEL)
アプリケーション
  • 3Dセンサーシステム、非接触型レーザ測定

課題

測定ホイールエンコーダーを使用し、生産設備における速度・位置・長さを触覚測定するのが従来の技術でした。小さなホイールが通過する製品とコンポーネント上を転がり、寸法と速度を計算します。これでもよいのですが、もっとよいやり方があります。従来からの測定ホイールにもデメリットがあります。薄くて敏感な材料だと、ホイールに跡が残ってしまったり、正確に測定するための十分なグリップが得られません。その代わりになるのが光学測定と呼ばれるものです。ところが、これは値がはります。「非接触型測定にメリットがあっても、購入価格が高いので敬遠してしまいがちです。そういう声がたくさんありました」と Heiko Krebs は言います。レーザ光で部品をスキャンするセンサーソリューションは技術的に複雑で、それに伴うコストも発生します。高いレーザ出力を要し、レーザークラス 3 のカテゴリーに分類されるため、構造上の安全対策と特別なトレーニングが必要になります。

開発時には私たちが想定していなかったアプリケーションへの要望も多く寄せられます。そのようなお客様も、SPEEDTECを使うことで、以前は適切なセンサー技術がなかった測定問題にも対応できるようになりました。

ハイコ・クレーブス
ハイコ クレーブス SICK AG 製品管理シニアバイスプレジデント

ソリューション

VCSEL ダイオード とTRUMP FPhotonic Components との共同開発は、飛躍を遂げました。TRUMPF PhotonicComponents のマーケティングおよびセールス担当の VP である Ralph Guddeは、消費者向けデバイス用の完全に統合されたレーザセンサーを備えた小型ダイオードを Heiko Krebs氏に提案してみました。レーザクラスが3になっていた問題は、これで解決しました。Guddeは「SICK には他にも測定手順を提案しました。VCSEL なら、自己混合干渉(略してSMI)と呼ばれる技術を利用できるからです。これは20年近くにわたって、多くの製品に投入されており定評があります」と言います。このプロセスでは、VCSEL が通過する部品の表面に赤外線レーザービームを照射します。共振器が、レーザ光の反射を捕らえ直し、それを共振器の光と混合させます。それからフォトダイオードが干渉を測定し、システムが周波数の差から移動速度を算出します。波長の変調から方向を割り出します。この要領でレーザセンサーが直接速度と方向を捕捉し、部品の位置と範囲を間接的に捕捉していきます。

 

実行

革新的なアイデアですが、実現するのは簡単ではありません。しかし開発パートナーとは、互いの専門知識を有益に活用するものです。TRUMPF と SICK は、共同で SPEETEC センサーを生み出します。ベースとなっているのは、FPGA の信号品質を迅速かつ超精密に評価するプロセスアルゴリズムです。絶縁ウールのような難易度の高い材料であっても、毎秒 10メートルの物体速度で、4 マイクロメートルの分解能と 0.1 パーセントの測定精度を実現します。「しかもお値段は、既存のものよりも触覚ソリューションにずっと近いものですから」と Krebs 氏は満足しています。

展望

両者とも、自分達の協力の結果だけでなく、そこへ至る過程も誇りに思っています。Krebs は「動きの速い消費者市場に焦点をあわせているプロジェクトパートナーであるトルンプと、業界の仕様に焦点をあわせている当社とでは、価値観がまるで異なっていました。多くの点で意見が違ったので、共通の考え方を見出すところから始めなければなりませんでした。TRUMPF Photonic Components のおかげで、自分達のアプローチだと行き詰っていた問題を解消できるようになりました」と回想します。一方で、Gudde は「当時、統合型の産業用センサーが満たす必要のある要件については、洞察がほとんどありませんでした。業界にどのような市場やニッチが存在するのか、把握できていませんでした。こういったことはSICK から学ばせていただきました」と付け加えています。

Krebs は、開発中には考えもしなかったような光学センサーに関する問い合わせがくるようになったのが、特にうれしいと語っています。こうしたお客様でも、これまでは適切なセンサーシステムがなかったような測定課題をSPEETEC でクリアすることができます」。

製品に関する詳細情報

統合型フォトダイオード付 VCSEL

統合型 VCSEL ソリューション ViP では、反射信号を処理できるようにフォトダイオードが直接統合されています。 シングルモード VCSEL は、その光学特性ゆえに、難易度の高いセンサー用途に最適です。産業的な環境条件での使用には、密閉された TO ハウジングに VCSEL が組み込まれている製品タイプが適しています。

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